事例紹介

同族企業において株主総会を開催し、必要書類等を整備した事例

2017.07.26 / 事例紹介・「企業法務」

依頼主

T社(製造業/従業員:30名未満/年間売上高:10億円未満)

相談内容

T社は、先代の社長が創業した同族企業であり、創業者の亡き後は、その息子兄弟が後を継ぎ、T社の株主は、創業者の息子兄弟が半分ずつとなっていました。
その後、息子兄弟は、兄が社長と弟が専務という肩書で、互いに協力して会社を経営していたのですが、7年ほど前に弟が急死してしまいます。

弟の遺産分割協議の結果、弟の保有していたT社株式は、弟の妻や弟の息子たちに分割され、引き継がれることとなりました。
ところが、T社の現社長である兄は、弟とは気が合ったようですが、弟の妻や息子たちとは、どうも反りが合わないようです。

ある日、現社長である兄が、弟の妻や息子たちに、「T社の経営には一切口は出して欲しくない、T社の株式を譲り渡して欲しい」と伝えたところ、弟の妻や息子たちは、この申し出に怒り出し、「これまでは黙っていたが、今後は、T社の株主総会で自分たちの要求も述べさせてもらう」などと言い出したのでした。

T社は、これまで株主総会を開催した経験はなく、自分たちだけでは株主総会を適法に開催するできるか不安が残るとして、当事務所に相談に来られました。

結果

T社は典型的な同族企業であり、これまでに株主総会を実際に開催したことはなく、議事録だけ作成することで、やり過ごしてきたとのことでした。

法律上は、株主総会を開催するためには、招集通知を送り、株主総会において監査報告や事業報告をするなど、必要な手続きが数多く定められています。
しかし、同族企業においては、株主全員の利害が一致していることが多く、実際には、全く株主総会を開いていないということも珍しくありません。

ただ、T社においては、もはや株主全員の利害が一致しているとは言い難く、むしろ、株主の間で対立関係が生じている状況であり、このまま放置することはできない状況でした。
このまま、株主総会を省略していると、手続違反を理由に、責任追及を受けるおそれもあります。

T社は、これまで、株主総会を運営したことはもちろん、招集通知や監査報告書、事業報告書の作成すら全く経験がないとのことでした。
そのため、当事務所において、株主総会開催のための必要書類を作成・準備し、総会当日のシナリオなども準備したほか、弁護士が総会の場にも臨席し、その結果、弟の妻や息子たちからの意見や質問に対しても、うまく対処することができたのでした。

このような株主総会運営も、弁護士の専門分野であり、会社にとっての弁護士の役割は、訴訟だけでなく、このような日々の企業法務も含まれます。
日々の経営に関し、不安に思われることがある場合には、早い段階で、弁護士に相談されることをお勧めします。

事例紹介一覧へ戻る