長期間の別居を理由に離婚が認められた事例
2017.06.28 / 事例紹介・「男女問題」
依頼主
Fさん 50代 男性 会社役員
相談内容
相談者(夫)は、妻からの精神的虐待に堪えかね、10年以上前から別居をしていました。しかし、別居してからも、妻から毎月60万円の生活費を要求され続けており、これに応じていました。しかし、相談者が中小企業の経営者であったこともあり、景気の影響で収入が大幅に減少し、60万円の生活費が渡せない月があると、しつこく催促の電話がかかってきており、精神的に弱りきっていました。そこで、相談者も、離婚しようと意を決して相談に来られました。
解決内容
調停では、相手方(妻)が離婚しないとの一点張りで、婚姻費用についても強硬な主張(月60万円)を続けていたため、その余の条件については話を煮詰めることも出来ず、不成立に終わってしまいました。
その後、離婚については訴訟に移行したものの、相手方に代理人がついておらず、婚姻費用分担調停が申し立てられていなかったため、婚姻費用についても、審判には移行せず、実質的に訴訟の中で争われることとなりました。
そして、訴訟においても、相手方は代理人をつけずに対応を続け、離婚には同意しない、仮に離婚するとしても財産分与として自宅不動産、預貯金及び生命保険等の全ての共有財産を譲るだけでなく、別居中に支払われなかった生活費は自らの母親から立て替えてもらっているので、母親への返済のために約2000万円を払え、養育費として月々30万円を支払えという主張を続けました。しかも、相手方は、訴訟の中ですら、相談者の人間性を批判し続けていました。
他方、相談者は、会社の建物の中で寝泊りしながら、相手方に生活費を渡すために、自らは生活費を切り詰めて生活していました。そのため、貯金等はほとんど存在せず、到底相手方の主張に応じることは出来ない状態でした。
このような、状況が続き、判決となりました。判決では、相手方の主張のほとんどは退けられ、相談者の念願であった離婚が認められることとなりました。
しかし、相手方は、控訴し、高等裁判所でも同様の主張を繰り返しました。もっとも、相手方も、代理人をつけ、その弁護士の説得を受け、最終的には、相談者の希望をほとんど満たす内容での和解をすることとなりました。
結果
結婚生活の中で、相手方に強硬な姿勢を取られ続け、自分の主張が何も通らないと、無力感に苛まれ、自分の意見を主張することすら出来なくなってしまうことがあります。本件は、まさにそのような事例で、相談者自身、調停や訴訟で争っている最中に何度も心が折れそうになっていました。
しかし、離婚という最後の場面でまで、相手方の理不尽な要求を飲む必要はないと、相談者を励まし続け、最終的には法的に適正な条件で離婚することができました。